高校時代は、演劇にはまったく興味を持ってませんでした。体操競技部でみっちり練習をしたあと、地元の数少ないインディーズを扱うレコード屋さんに入り浸って、大好きなパンク音楽を聴く毎日。
バンドも組んだりはしていたんですけど、体育会系の部活の友達に趣味の合う仲間がいるはずはなく、ヘビメタ好きの友達に無理矢理頼んでパンクを演奏してもらったりして、盛り上がった気分はそれほど味わえませんでした。
体育大学への推薦入学の誘いを断って一般の大学に進学したのは、とにかくやりたいことを探したいという一心で。
そんなある日、芝居好きの友達に誘われて観たのが、劇団健康の第5回公演『ホワイトソング』の再演でした。ストーリーらしいストーリーのない芝居だったんですが、役者1人ひとりがハジけていて、「これはパンクだ!」と衝撃を受けたんです。
アンケートに「みのすけはすごい」という感想を書いたことは、いろんなところで話していますが、同封されていた劇団員募集のチラシに応募し、バク転といかりや長介のモノマネをして劇団員になってから、そのアンケートを再び目にすることになるんです。そのころ、劇団員がDMを発送する宛名書きをしていたんですよ。それで偶然、担当したアンケートの中に自分が書いたのが入っていたんです。...恥ずかしくなって、捨てちゃいました(笑)。
それが大学3年生のときのこと。男子校から男女共学の大学に進学しただけに学校が楽しくて、それまでの僕は熱心に授業に通う学生だったんです。ところがそれ以降、パッタリ学校に行かなくなるくらい、演劇にのめり込んでいきました。
チラシに名前が載るようになったのはけっこう遅くて、最初の4年間はずっとガムシャラでした。
劇団健康から後にナイロン100℃を主宰するケラさん(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)は、脚本を書く段階から稽古場でエチュードをしながらセリフやストーリーを作っていくことがあるんです。役柄と状況設定を与えられて、即興で芝居をしていくわけですね。
演技の経験もまったくなかった僕としては、とにかく夢中でぶつかっていくしかありませんでした。当時の先輩からは、「どうせ何もできないんだから、チンコを出すくらいの気持ちでいけ」なんてアドバイスをいただいたのを覚えていますね(笑)。
だから、大学卒業を間近にして、いちおうは就職ガイダンスに顔を出したりはしたものの、就職する気にはなれずにそのまま演劇をやっていく決意をするんです。
そのことを親に電話で報告したとき、「親子の縁を切っても構わない」なんて切り出してしまったんですが、「(演劇をやることには)賛成はできないけれど、親子の縁まで切ることないじゃないか」って、泣かれました(笑)。
それで気づけば20年以上の月日がたっていて、現在に至る。ここまで続けられるものに出会えたことは僕にとって、とても幸運なことだと思います。
芝居を始めて10年くらいたったころから、いろいろな外部公演に呼んでいただきました。当たり前なんですけど、人によって演出の仕方は本当にそれぞれで、そのたびに刺激的な経験を積むこともできました。
でも、どんなときでも変わらないのは、本気でやるということ。特に舞台の場合は、お客さんの目の前で演じるだけに、気持ちが入ってるときとそうでないときの違いが如実に伝わっちゃうと思うんです。そもそも役を演じるということだって、嘘の上に本当を作り上げる作業ですよね。乱暴に言ってしまえば大の大人がごっこ遊びをしているようなもので、本気で臨まないと薄っぺらいものになってしまうから。
今回の『マレーヒルの幻影』も、100%の本気で臨みます。特に岩松(了)さんの作品は、観客としてだけではなく、役者としても「この舞台に立ちたい」と思わせてくれる作品で、それが実現したことはとてもうれしいです。
こうして考えてみると、出会いには恵まれていると思います。
ドラマーとしてグループ魂に加入したのも、たまたま宮藤(官九郎)くんが声をかけてくれたからで、音楽はもうとっくにあきらめていたのにこういう機会があるというのは面白いですね。高校時代は、趣味の合う仲間に出会えなかったから、今のメンバーと演るのはとても楽しいです。人生、何が起こるかわからないですね。
取材・文/ボブ内藤 撮影/石井和広(TFK)











