【注目インタビュー 私のターニングポイント Vol.84】セイン カミュ『俳優としてスターになること。それが小さいころからの夢でした』(掲載開始日:2009年10月22日)

セイン カミュ(せいん・かみゅ)
1970年11月27日生まれ。アメリカ・ニューヨーク州出身。レバノン、エジプト、ギリシャを経て6歳で来日。10歳でシンガポールへ。13歳で日本に戻り、横浜のインターナショナルスクールに入学。卒業後、ニューヨークのロングアイランド・ホフストラ大学で演劇と文学を専攻。エキストラ、モデルなどを経て、人気タレントとして活躍。この10月には*pnish*11回目公演『マハラジャモード』で初舞台を踏む。

小学生のときに踏んだ初舞台で自分を表現することの快感を知りました (セイン カミュ)

あれは小学4年生のこと。僕は当時、イギリスの学校に通っていたんですが、クリスマスに向けて学芸会のようなものがありまして、キリストの誕生を表現するミュージカルをやることになったんです。

与えられた役は、聖母マリアの夫であるナザレのヨセフ。脇役ながらセリフも多く、やりがいのある役です。時間をかけて何度も稽古をして、いざ本番。すべてを演じ終え、客席から熱のこもった拍手を浴びたときの気持ちよさ、感動は忘れられません。

とにかくクセになるくらいの体験で、日本のインターナショナルスクールに通っていたころにはクラブ活動で演劇をやったり、スピーチコンテストに出場したりするようになりました。

19歳のとき、ニューヨークの大学に進学する道を選んだのは、自分が生まれた地をもう一度確かめたいという気持ちがあったからですけど、ニューヨークが演劇の盛んな街だということも大きな動機になっているんです。ホフストラ大学は、映画監督のフランシス・フォード・コッポラや俳優のクリストファー・ウォーケンの出身校で、僕はそこで演劇を学ぶことになりました。

そのころの夢は、ブロードウェイの舞台に立つような俳優になって、ハリウッドでも活躍するようになること。

ところが、まわりにはそんな若者がものすごくたくさんいて、熾烈な競争をしていました。信じられないかもしれないけど、「あのオーディション、いつだっけ?」と質問すると、嘘の日を教えて競争相手を減らそうとするヤツなんかもいるんですよ。もうビックリ。そんなある日、結婚まで考えていた彼女にフラれたのをきっかけにホームシックになって、傷心のまま日本に戻ることになったんです。

マネジャーとして裏方の仕事を経験したことは、とても役立った (セイン カミュ)

だからといって、俳優としてスターになるという夢をあきらめたわけではありません。

大学を休学して日本に帰国したとき、友達から外国人専門の芸能プロダクションがあるという話を聞いて、モデル登録したのは何よりの証拠。ただ、僕は日本語を話せるということもあって、単なるモデルではなく、事務所に出勤して、マネジャーの仕事もやっていたんです。

「ブロンドの外国人8人、いませんか」という電話を受けたら、登録モデルに連絡をして現場につれていき、ディレクターやプロデューサーの指示を聞いてモデルたちにそれを伝えるんです。

でも、そうやって裏方の仕事を経験できたというのは、僕にとっては貴重な経験でした。マネジャーをやりながら自分もモデルとしてカメラの前に立つこともよくあったんですが、撮影現場のシステムを理解することで、自分が何をすべきかがよくわかりましたからね。

当初、大学は3カ月くらい休学して、またアメリカに戻ろうと思っていたんですが、こっちのほうが面白くなってのめり込んでいきました。友達と独立して会社をおこしたり、NHKで英語のレギュラー番組をもったりするころには、もうこの道でやっていこうという気持ちになっていました。

『むじんくん』のCMで話題になったり、『さんまのSUPERからくりTV』(TBSテレビ)などバラエティー番組に出演するようになってからは、本当に毎日が楽しかった。

芸能活動18年目にして初舞台。今はとにかくワクワクしています (セイン カミュ)

NHK連続テレビ小説の『さくら』(2002年)と『どんど晴れ』(2007年)に俳優として出演させてもらったときは、念願の夢を果たしたなという気持ち。

ただ、役を演じるという体験は、決して簡単なものではなかったですね。バラエティー番組のように、好きなことをしゃべっていいわけではなくて、台本に書いてある通りにセリフを話さなくてはならないというだけでむずかしい。

それでも、経験を積むことで自分なりの演じ方をつかめるようになっていきました。役者にもいろんなタイプがあって、中には与えられた役になりきろうと努力する人が多いと思いますが、僕の場合は、自分の個性を生かしながら役を表現していくほうがいいみたい。もっとも、どんな役でも「誰がやっても同じ」ということはなくて、その役には演じた人の個性が必ず反映されるものだと思いますけどね。

まぁ、そんな風にいろんな経験を積んで、今年で芸能活動18年目。そこへ来て「舞台に出演してみませんか」という誘いをいただいて、今、とてもドキドキしています。

「初舞台」という意味では、小学生の学芸会で自分の中では実現しているんだけど、今回は、プロの俳優としての「初舞台」ですから、プレッシャーは大きいですよ。でも、それ以上に何が起こるんだろうっていう楽しみがありますね。初心忘れるべからずという言葉がありますけど、今の気持ちは、これからもずっと忘れずに思い出すことになるだろうって予感があるんです。

セイン カミュさんへQ&A

Q:最近、ハマってることは?
A:ふたりの子供と遊ぶこと。長男は元気いっぱいで、レスリングしたりしてますね。
Q:落ち込んだときのパワーフードは?
A:妻の作った料理なら何でも。家族みんなで食卓を囲むのが何よりのパワー源です。
Q:もし俳優になっていなかったら?
A:小さいころは外科医か獣医になりたかった。レバノンに住んでいたとき、ボランティア活動をしていた母に影響されたのかな。

これから演劇を楽しもうと思っている人へ

演劇というのは、役者だけじゃなくて、観客がいないと成立しないものですから、お客さんは、肩肘はらずに楽しんでいいと思うんです。で、お客さんが楽しんでいる様子が役者に伝われば、その舞台はもっともっといいものになるはず。僕の初舞台も、そんな気持ちで観に来てほしいです。精いっぱい演じますので、ぜひ劇場に足を運んでください!

これから演劇をしようと思っている人へ

自分にしかできないことって、僕はきっとあると思うんです。だから、何かに失敗して落ち込んだりすることもあるかもしれないけど、そのことを忘れないでほしい。そして、ずっとやり続けていれば、自分にしかできないことを表現できるチャンスは、必ずやってくる。そのことを信じて頑張ってください。

セイン カミュさんの次回公演情報

「マハラジャモード」の画像画像を拡大する
*pnish* vol.11 「マハラジャモード」

「気軽に観る事ができて、楽しい舞台」をコンセプトに、ダンス、アクション、コント、音楽の要素を取り入れた芝居を作り続けている演劇ユニット*pnish*の11回目公演が上演される。2008年には10回目公演『サムライモード』で初の時代劇に挑戦した*pnish*だが、今回の舞台は古代インド。煌びやかに華やかに、暴れて踊って少し切ない、*pnish*テイスト満載のオリエンタルアクションコメディになるはずだ。また、客演のセイン・カミュの演技にも目が離せない。この絶好の機会を見逃すな!

神戸公演 東京公演
2009年10月24日(土)・25日(日) 2009年10月29日(木)~11月3日(火・祝)
新神戸オリエンタル劇場 サンシャイン劇場
名古屋公演
2009年11月7日(土)・8日(日)
名古屋市芸術創造センター
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取材・文/ボブ内藤 撮影/石井和広(TFK)

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