- 上山 竜司(かみやま・りゅうじ)
- 1986年9月10日生まれ。東京都出身。男性ユニットRUN&GUNのリーダー。2008年からRUN&GUN Stageと題して『YooSoRo!』(2008年)など2回の自主公演を行った他、単独でも宮本亜門演出『INTO THE WOODS』(2004年・ジャック役)、『EVIL DEAD THE MUSICAL~死霊のはらわた~』(2009年)などに出演。映画『走り屋ZEROII』(2009年)では主演をつとめた。
小学校とか、クラスにひとりくらい、とんでもない目立ちたがり屋がいますよね。朝礼で校長が話をしているとき、前に出てって「みんな、聞けよー!」なんて叫ぶヤツ。それが僕でした。
その性格は今でも変わってなくて、突然、「ワァーッ!」と叫んだり、そのときの気分を即興の歌にしてうたい出したりするクセがあって、そういう突飛な行動が理解されないことが多いんです。
そんな僕がこの世界に入ることになったのは、高校生のある日、路上で歌をうたっていたのがきっかけでした。
ギターも何も持たず、「いい空だな~♪」なんて感じでうたっていたら、それがちょうどレコード会社のビルの前だったんです。で、そのレコード会社の社長がそれを聞いていて、「面白いヤツだな」と声をかけてくれたんですね。
その後、さまざまなオーディションを受けて、最終的には関西のオーディション番組の『スタパー!!』に出演してRUN&GUNの一員になったんですけど、フンドシで寒中水泳したり、バンジージャンプで誰がいちばん早く飛べるかみたいなことをやって、ホントに変なオーディションでした。
RUN&GUNのメンバーも当時14~15歳くらいで性格もバラバラで、正直言って「こんなんでやっていけるのかな」という雰囲気がありました。ケンカもたくさんしましたね。でも、そうやって言いたいことを言い合ううちに、結束の固いチームワークができあがっていった。
歌やダンスをやっていた初期の活動から脱皮して、テレビや映画、舞台に進出して演技面で活動できるようになったのは、そのおかげだと思っています。
役者の仕事をするようになって印象に残っているのは、2004年のブロードウェイミュージカル『INTO THE WOODS』のジャック役をいただいたとき。今思い出してみると、演出家の宮本亜門さんの要求にこたえられなくて、くやしい思いをしたことが軽いトラウマになっていますけど(笑)、演劇というのは毎回毎回、スタッフとキャストとお客さんがひとつの宇宙を舞台の上に作る作業なんだなってことを感じて、すごく感動したんです。これは僕にとって、大きな転機でした。
以来、舞台の仕事はいつも楽しんでやらせてもらっています。
テレビや映画と違って舞台の仕事というのは、1カ月ほどの長い期間、同じメンバーで稽古をして本番に臨むじゃないですか。それが僕の肌に合っているんです。突然、叫び出したり、歌い出したりする僕のことも、一緒に舞台を作っている仲間は、温かい目で見てくれるんですね(笑)。
先日、舞台『EVIL DEAD THE MUSICAL~死霊のはらわた~』(2009年)に出演したときもすごく楽しかったんですけど、カーテンコールで主演の諸星(和己)くんが「シメのひとこと、お前がやれ」とふってくれまして、即興の歌を披露させてもらいました。あれは気持ちよかったな。
あと、この舞台で僕は、女好きで頭の軽い三枚目の男を演じたんですけど、この役を演じたことで自分の中で一枚、皮がむけたような感覚があったんです。
舞台の上で放送禁止用語を絶叫する楽しみ。カッコつけた二枚目を演じるときにはない快感ですね。
こうして考えてみると、僕は目立ちたがり屋の小学生のころから、まったく変わってない(笑)。
でも、いろいろなチャンスをいただくたび、「自分の中にはこんな表現の引き出しがあったんだ」という発見があったし、そのたびに少しずつ成長している実感はあるんです。実際、最初に歌やダンスでデビューしたころにやってきたことは、演技をするようになった現在、確実に役にたっていて、すべての経験が無駄になっていないなって気づかされるんです。
だから、路上で歌っている僕に声をかけてくれたレコード会社には、本当に感謝しなくちゃいけないんですけど、実はつい先日、その社長が亡くなるという悲しいことがありまして。お世話になった方だけに、「車を買って、社長にプレゼントする」なんて言ったりしたけど、それがクチだけの約束になっちゃった。
でも、こうやって一歩一歩、成長していくことが恩返しだと思うので、これもひとつのターニングポイントだと思って、これからも頑張っていきたいと思います。
今回の『赤と黒』も、特別の意気込みで臨みます。
出演依頼の話をいただいたときは、木村了さん扮する主人公のジュリアン・ソレルが憧れるナポレオンで、主人公の影のように存在し、2人の会話で心の葛藤を表現する役だと聞いて、「一体、どんなことになるんだろう」と不安になりましたけど、その不安を快感に変えられるよう、頑張りたいと思います。ご期待ください。
取材・文/ボブ内藤 撮影/石井和広(TFK)











