【注目インタビュー 私のターニングポイント Vol.67】高田 聖子『人から「おもしろい人やね」と言われるような人になりたかったんです』(掲載開始日:2009年6月25日)

高田 聖子(たかだ・しょうこ)
1967年7月28日生まれ、奈良県出身。87年より劇団☆新感線に参加。以来、歌って踊ってギャグもこなす看板女優として活躍する。95年から2006年にかけては自ら座長をつとめる月影十番勝負で10本の公演を行い、現在も月影番外地として活動中。また、NHK連続テレビ小説『やんちゃくれ』をはじめドラマや映画でも活動。外部公演にも引っ張りだこで、この7月にはブロードウェイ・ミュージカル「スペリング・ビー」に出演する。

気がついたら劇団☆新感線の一員になっていました (高田 聖子)

子供のころからドリフターズとか吉本新喜劇とかが大好きで、「おもしろい人」になりたいという夢は、ずいぶん前からありました。お寺の娘に生まれたという反動もあったかもしれませんね。

ただ、いろんなオーディションを受けたりしても、書類選考で落とされてばかりで、高校時代にNHK放送劇団に入ったときは、「やっぱり無理なのかな」とあきらめモードでした。

すると、その劇団に大阪芸大の学生さんがいらっしゃって、「お芝居が好きなら、ウチの大学はおもしろいよ」という言葉に誘われて大阪芸大に進むことになりました。

それで、学食でごはんを食べていたある日のことです。橋本じゅんさん主演のお芝居のチケットを売りつけられたんです。芸大生ということもあり、劇団☆新感線は公演のお手伝いをした縁もあったので、観に行ったんですね。すると、受付のところで、座長(いのうえひでのり)と古田(新太)さんが怪しい目つきでお客を見回しているじゃないですか。そして、私の顔を見つけたふたりが言った言葉は、「今から稽古場に遊びにこい」。ふたりの隣には、後輩の(羽野)晶紀がつかまっていて、気がついたら古田さんのぶかぶかのジャージを着せられて踊りをおどらされていました。

どうやらそれは、『BOYS IN THE ATTIC~闇夜はドッキリ!』(1987年)という公演のオーディションだったらしく、私と晶紀は、「いけそうやから、明日からよろしく」という座長の言葉とともに、劇団☆新感線の劇団員になっていました。

外部公演と月影十番勝負での座長経験はとても貴重な体験でした (高田 聖子)

最初の役は、古田さんの後ろで踊るだけのバックダンサー役で、セリフも、「むくむく」と「どっぴょ~ん」の一行だけしかありませんでした。ところが、だんだんセリフも登場場面も多くなるにつれ、ピッチピチの黒ジーンズに革ジャン、金髪頭の座長の「下手、下手、下手、下手ーっ!」という罵倒に耐える日々がはじまりました。

でも、私にとってはそれが初めての劇団体験でしたから、劇団というのはそういうものだっとずっと思っていたんです。

だから、1993年に木野花さん演出の『ぼくにやさしい四人の女』に呼んでいただき、初めての外部出演をしたときは、大変なショックを受けました。とにかく、それまで忍者とか、ペテン師の少女といった役ばかりを演じてきた私にとって、ごく普通のOL役を演じたというだけで新鮮。それから、舞台を走り回って決めゼリフを言うみたいな場面もひとつもなく、自然な演技を要求されて四苦八苦。この経験で目からウロコが何枚も落ちました。

でも、そうやってまったく新しいことを経験したおかげで、それまで劇団でやってきたことの面白さを再確認することができました。

また、この舞台がきっかけであるプロデューサーさんからお誘いを受けて、月影十番勝負という演劇ユニットの座長になったことも、私にとっては新鮮な体験でした。

企画の立ち上げからスタッフ集め、キャスティング、チラシ制作といった、お芝居づくりのすべてにたずさわるわけですから、これも目からウロコが落ちまくりで、劇団☆新感線でやってきたことを客観的に見つめられる貴重な機会になりました。

だから、そんな姿を見た座長に「村まつりの準備をしてるみたいで、楽しそうだな」とうらやましがられたときは、ちょっとうれしかったですね。

「おもしろい人」になる道はまだまだ遠いです (高田 聖子)

「おもしろい人」になりたくて、一度はあきらめていた私ですが、こうしてふり返ってみると、人との出会いに助けられてここまで来ているんだなということをつくづく感じます。

だからここ数年、いろいろな外部公演でお声をかけていただいている状況はとてもうれしいことで、新しいことには積極的に挑戦していこうと思っています。

ミュージカル作品に初めて起用されたのは、『ペテン師と詐欺師』(2006年)なんですが、このときは歌をうたうのが一曲だけだったので、今回の『スペリング・ビー』は初のミュージカル挑戦と言ってもいいかもしれません。

楽譜つきのタウンページみたいな分厚い台本を見たときは、さすがに不安になりましたけど、不安が大きければ大きいほど、得られる発見もたくさんあると思うので、楽しみでもあります。

最近、だんだんわかってきたんですけど、私が目指していた「おもしろい人」は、単に「おもしろいことができる人」なのではなくて、「ただそこにいるだけでおもしろい人」なのかもしれません。そして、そういう人になるための道のりはまだまだ長くて、私はもっといろんな経験を積まなくてはいけないのだと思います。

高田 聖子さんへQ&A

Q:最近、面白かった本は?
A:トーベ・ヤンソンの『誠実な詐欺師』。ファンタジーのようでもあり、リアルな話でもあり、不思議な物語でした。
Q:初めて感動したお芝居は?
A:大学時代に観た、状況劇場の『少女仮面』。意味はわからなかったけど、すごくカッコよくて、2度も観ました。
Q:もし女優になっていなかったら?
A:小学生のとき、動物園の飼育員になりたいなと思ったときもあります。学校でも飼育係をやってました。

これから演劇を楽しもうと思っている人へ

演劇って、テレビとか映画と比べてハードルの高いものだと思っている人はたくさんいると思うんですけど、私もそれは同感なんです。そもそも演劇はハードルの高いものであって、それを超えるだけのテンションが必要です。「こんな洋服を着て行こう」とか、「この店で腹ごしらえしてから行こう」とかプランを周到に立てて、絶好のコンディションで観に行くとより楽しめると思います。

これから演劇をしようと思っている人へ

去年、ある先輩に「どうしてそんなにお芝居がうまくなったんですか」と質問して、また目からウロコが落ちました。先輩は、こう答えたんです。「まず、演出家をはじめ、まわりの人の話を聞けるようになったことと、相手役がやりやすいように演じようと思えるようになったこと。それが大きかったかな」と。「なるほど」と思い、その言葉を座右の銘にしています。

高田 聖子さんの次回公演情報

「スペリング・ビー」の画像画像を拡大する
ブロードウェイ・ミュージカル 「スペリング・ビー」

ブロードウェイで上演され、見事トニー賞を受賞した名作が、いよいよ日本に上陸する。英語のスペルを正確に言い当てるスペリング大会を舞台に、そこに集まってきた個性豊かな子供たちが大暴れ。藤井隆新妻聖子梶原善坂元健児風花舞といった出演陣の中で、われらが高田聖子はどんな演技を見せてくれるのだろうか。大人役に扮する安寿ミラ今井清隆村井国夫らの存在感ある演技も見ものだぞ!

東京公演 名古屋公演
2009年7月17日(金)~8月2日(日) 2009年8月4日(火)
天王洲 銀河劇場 愛知県勤労会館(つるまいプラザ)
大阪公演 福井公演
2009年8月5日(水)、8月6日(木) 2009年8月8日(土)
サンケイホールブリーゼ 福井市文化会館
  • この公演の詳細をみる
  • この公演へのコメントを読む

取材・文/ボブ内藤(方南ぐみ) 撮影/石井和広(TFK)

新規ユーザー登録(無料)