こう見えても子供時代は、人と交流するのが苦手な子だったんです。
3歳まで話していたフランス語は日本に来てからすべて忘れ、日本語で友達と接するんですが、どんなふうに自分を表現していいかわからない。学校の成績は、美術と音楽と体育以外は人並み以下という状態でした。
そんなとき、生まれて初めて宝塚の舞台を観て、「これだー!」と、全身に鳥肌がたつようなショックを受けたんです。それまで自然に囲まれて、エンターテインメントとは無縁の世界で育ってきただけに、その衝撃は大きかったですね。とにかく、舞台の上に立つためなら何でもしようと、その日からそう決心しました。
それだけに、宝塚の3度目の試験に落選したときは落ち込みましたけど、OSKの団員養成学校である日本歌劇学校に合格してからは前向きに考えて、全力投球することに決めました。
とにかく舞台というのはお客さんの目の前で生身の体を使って表現をするだけに、ごまかしの効かない世界。その中で私は、「本物」といえるだけの技術を一刻も早く身につけたいと思っていました。
2年間、無遅刻無欠席でレッスンに臨み、いよいよ初舞台を踏める日が決まったんですが、その2ヶ月前、阪神・淡路大震災が起こりました。
家族は無事だったものの、父のパン屋さんは全壊。実家は半壊。
そのとき、いろいろなことを考えました。あと一歩で夢がかなうというときの最悪のタイミングだけど、これは私に何かを考えさせる兆しなんじゃないかと。そこで、夢はいったん脇に置いておいて、家族と一緒に暮らすことを決意しました。
被災地で半年、その後、大阪に転居して1年間を家族とともに過ごしたんですが、その期間、私は本当にいろいろなことを学びました。
家族や親族との絆の大切さ、住まいがあるということのありがたさ、今まで当たり前にあると思っていたことが、突然なくなることでガラリと変わってしまう。そのことを思うと、毎日を感謝しなきゃいけないなと感じさせられて。
ある意味で私には、有意義な1年半でした。
それだけに、母に「あんたの夢は何やったんや?もう家の手伝いはいいから、夢に向かって頑張り」と言われたときには、ものすごいパワーをもらえましたからね。
「20歳を過ぎて上京して、芸能界に入るなんて遅すぎる。無理」という考えは、最初から私にはありませんでした。とにかく、やり続けていけば、きっと夢はかなうはず。そう信じて突っ走るしか頭にありませんでした。
もちろん、お金はないので家賃5万1500円の女子寮でギリギリの生活。芸能プロダクションに送るプロフィール写真は、原宿のカメラ小僧にフィルムを渡して撮影してもらったりしていました。
テレビのバラエティ番組でレポーターの仕事をいただいたときも、早く舞台に立ちたいと焦る気持ちもありましたけど、「役を演じるにはすべての経験が役に立つんだから、決して無駄ではない」というスタッフのアドバイスを信じることにしました。私は大器晩成の女優なんだって、自分を励まして。
こうして振り返ってみると、あのころの私はとにかくガムシャラで、何をやるにしても力みすぎていたように思います。それがプラス面に働くこともあったし、マイナスになることもありました。
19歳のとき、宮本亜門さんの『GIRL's TIME~女の子よ、大志を抱け!』のオーディションを受けたときも、たぶんそういう理由で不合格になったと思うんです。でも、亜門さんは「君、面白いね。また受けにおいでよ」と言ってくれて、翌年の再演のときに声をかけてくださったんですね。
だから、今年の1月、『ドロウジー・シャペロン』で久しぶりに亜門さんの演出を受けたとき、「カトリーヌは成長したなぁ。歌もうまくなったし、自分をさらけ出せるようになった」とおほめの言葉をいただいたときは、本当にうれしかった。幸せでした。
ここ数年、舞台に立つ機会をよくいただくようになったことも、私にとって本当に幸せなこと。
『EVIL DEAD THE MUSICAL~死霊のはらわた~』も本番が待ち遠しいです。
先日、スチール撮影で私がゾンビのコスチュームをした写真をブログにアップしたときは三谷幸喜さんからメールをいただいて「とうとうそこまで行ってしまいましたか」とビックリされましたけど、本番では私も持っているエネルギーをすべてつぎ込むつもりでいます。
「本物」と言えるような女優になる道は、まだまだ遠いけれど、ガムシャラ精神を捨てずにこれからも頑張っていきますよ!
- EVIL DEAD THE MUSICAL ~死霊のはらわた~
1981年の公開から20年以上経った今でもカルト的な人気を誇っているホラー映画『死霊のはらわた』が、ミュージカルになった!2003年のカナダでの公演を皮切りに、06年にはニューヨークのオフ・ブロードウェイに進出。その後、韓国でも上演され、世界各国を恐怖と笑いの渦に巻き込んでいる。その日本版キャストに起用されたのは、諸星和己、大和田美帆、「RUN&GUN」のリーダー上山竜司、劇団☆新感線の右近健一、森本亮治、高橋由美子、そして我らが瀬戸カトリーヌ。カナダや米国では客席まで血しぶきが飛び散る演出に観客が熱狂したという盛り上がりぶりだったとか。これは見逃せない!
2009年6月25日(木)~7月5日(日) サンシャイン劇場
取材・文/ボブ内藤(方南ぐみ) 撮影/石井和広(TFK)











