- 彩乃 かなみ(あやの・かなみ)
- 8月7日生まれ。群馬県出身。1995年、宝塚音楽学校入学。97年『仮面のロマネスク』で初舞台を踏む。みずみずしい舞台姿で新人時代から注目され、数多くのヒロイン役をつとめた。2005年には月組に組替えして、トップ・瀬奈じゅんの相手役の主役娘役に就任。08年『ME AND MY GIRL』で宝塚歌劇団を卒業。2009年3月27日からの『Triangle~ルームシェアのススメ~』にて、退団後の初の舞台を踏む。
高校1年生のとき、テレビで宝塚歌劇団の公演を見たのが、宝塚との初めての出逢いでした。宝塚を知ると同時に「私もこの舞台に立ちたい」と思うようになり、両親に相談しました。ごくごく普通の家庭を営んできた両親は、私が大学に進学するのだと信じていたため、開いた口がふさがらず、当初は志すことに大反対でした。
ですが、徐々に私の真剣な想いと熱意が伝わったのか、最後には宝塚音楽学校受験を応援し、支えてくれるようになっていました。
3回目の受験で念願かなって入学出来たので、感謝の気持ちの方が大きく、どんなに厳しいレッスンの中でも忍耐強く頑張ることができました。もちろん、めげそうになったこともたくさんありましたが、あこがれの宝塚の世界に身を置くことの幸せが、私を励ましてくれました。
宝塚歌劇団に入団して3年目のころ、オーディションで、バウホール公演の『ロミオとジュリエット'99』のジュリエット役をいただきましたが、私にとっては初めてのヒロイン役で、そこで求められる演技のレベルは当時の私にはとても高く、プレッシャーに押しつぶされそうでした。
実際、稽古が私への演技指導でしばらく止まってしまうことも多々あり、お客様の前に立つことが怖くなってしまうほどの恐怖を感じました。でも、最終、無事に舞台をつとめることができたことは、私の中で大きな自信につながりました。
舞台に立つことはつねにプレッシャーがともないますが、劇団という場は、それを乗り越える手助けもしてくれる。そういう意味で宝塚は、私にとってかけがえのない場所だと思っています。
その後も、たくさんの素敵な役をいただき、それにこたえられるよう無我夢中でぶつかっていく毎日が続きました。舞台に立つことの楽しさを味わえる余裕が出てきたのは入団して4年目、バウホール公演の『マノン』でヒロインを演じたときでしょうか。
ところがその直後、花組から宙組へ組替えすることになり、それまで一緒にやってきて、仲間や上級生と離れるという大きな転機を迎えることとなりました。寂しいのと心細い気持ちとで、別れの日には涙がこぼれて仕方がありませんでした。
ところが、「案ずるより生むがやすし」。宙組の一員になってからは、むしろ、宝塚は組が違っても一つなのだと実感することになりました。新しい組で緊張しながらも、「初めまして」というところから一緒に舞台を作っていくその中で、多くの方と新しく信頼関係を築いていくことの面白さや大切さをまなびました。
また、学年が上がるにつれ、下級生に伝える事が多くなり、その中で自分自身に得られることも多くなった時期でした。
逆に宙組への組替えがみのり豊かなものと実感できていたので、その4年後、月組に組替えし、瀬奈じゅんさんの相手役として主演娘役をさせていただくことが決まったときは、新たな変化に前向きに臨むことが出来ました。
こうして振り返ってみても、本当に素晴らしい経験をたくさんさせていただいたのだなと......感謝の気持ちでいっぱいになります。
卒業を決めたのは理屈ではなく「あ、今なのかな...」という直観的な心の言葉に準じたのがきっかけです。「永遠に宝塚にいたい」と思えるくらい、大好きな場所でしたが、それが出来ないからこそ宝塚は素敵で素晴らしい世界なのだと思います。
退団後、何をしようかということは、決められなかったので、あえて決めずにボーッとする時間を楽しもうと思っていました。兵庫県の宝塚市から東京に居を移して、新しい生活をはじめるのにもワクワクしていました。
そして今回、『Triangle~ルームシェアのススメ~』で退団後の初の舞台を踏むこととなりました。
歌劇団では、それまでの自分の成長過程を見つめてくれている仲間や先生方と過ごしてきましたが、これからはひとつひとつの公演が新しい出逢いの連続。
12年程舞台を踏んできましたが、男性と共演することさえ初めてですから、未経験のことがたくさんあり、プレッシャーは大きいです。
でも先日、井上芳雄さんと新納慎也さんとごあいさつをさせていただき、抱いていたプレッシャーが何か面白いことが始まるんだなという気持ちに変化するのを感じました。こんな素敵なおふたりと共演できることを本当に光栄に思います。
歌あり、踊りあり、お芝居ありということで、少し休養していた分、不安もありますが(笑)。今はどんな舞台になるか、楽しみでワクワクしています。
私が演じる役も、今まであまり演じた事の無かったキャラクターですので、新鮮です。楽しみにしていて下さいね。
- PARCO PRESENTS SHOW STAGE NO.1 「Triangle~ルームシェアのススメ~」
パルコ劇場で木の実ナナ&細川俊之のキャストで1974年の初演より15年にわたって上演された伝説の舞台『SHOW GIRL』が、ミュージカルとお芝居をいいとこ取りした新しいショーステージとして蘇る。若手演劇集団「モダンスイマーズ」の座付き作家・蓬莱竜太の脚本を青年座の演出家、宮田慶子が見事に料理。ミュージカル界ではその名を知らない者はいない、井上芳雄と新納慎也が、宝塚退団後の初舞台に臨む彩乃かなみと、どんなパフォーマンスをしてくれるのか? 歌とダンスと物語が溶け込んだ、ゴージャスでPOPなショーステージをご堪能あれ!
東京公演 大阪公演 2009年3月27日(金)~4月19日(日) 2009年4月25日(土)~4月26日(日) PARCO劇場 ウェルシティ大阪厚生年金会館芸術ホール 福岡公演 2009年4月28日(火) 福岡市民会館 大ホール
取材・文/ボブ内藤(方南ぐみ) 撮影/石井和広(TFK)











