【注目インタビュー 私のターニングポイント Vol.45】忍成 修吾『人見知りだからこそ、俳優は向いてるのかなって思えるようになりました』(掲載開始日:2009年1月22日)

忍成 修吾(おしなり・しゅうご)
1981年3月5日生まれ。千葉県出身。高校時代からファッション雑誌の読者モデルとして人気を博し、99年に『天国に一番近い男』(TBS系)にて俳優としてデビュー。2001年の映画『リリイ・シュシュのすべて』などの作品で高い評価を受ける。近年は映画『小森生活向上クラブ』に出演したほか、パルコ・プロデュース公演『ビロクシー・ブルース』で初舞台を踏む。

最初は人前で自分を表現するなんてこと、夢にも思えなかった (忍成 修吾)

高校時代、僕が読者モデルをやっていたことには、それほど大きな意味はないんです。好きな洋服をいろいろ着ることができて、楽しいなという感じかな。撮影が終わると、モデル仲間とゴハンを食べたりしましたけど、「将来は音楽をやりたい」とか「役者になりたい」と夢を語る人の中で、僕はわりと冷めてました。

というより、僕は本来、人見知りな性格だったので、人前に出て自分を表現するなんてことは向いてないと思ってたんです。そのモデル仲間の中には、今も第一線で頑張ってる押切もえさんや、俳優の弓削智久くん、それから後に映画『GTO』で共演することになる妻夫木聡くんがいました。

そんな僕が俳優の仕事をいただいて、「やってみようか」と思ったのは、たまたまそれが最初の誘いだったからで、それがそのころ少し興味をもっていた空間デザイナーの助手みたいな仕事だったら、間違いなくそっちにいってたでしょうね。

だから、最初のころはドラマや映画の撮影現場は僕にとって、俳優という仕事がどういうものなのかを学ぶ場でした。すべてが新しい体験でしたから、驚いている余裕もなくて、何もかも素直に吸収していった感じ。

ただ、最初のころは、カメラの前で演技をすることを、すごく恥ずかしく感じることはありました。でもそれは、台本に書かれた架空の人物を演じるわけだから、素の自分を出す必要はないんだって気づいてからは、だんだんこの仕事が面白くなっていったんです。むしろ、人見知りの僕にこそ向いてる仕事なんじゃないかって、興味をもつようになったんですね。

役を演じることの醍醐味を初めて教わった経験 (忍成 修吾)

その結果、今までいろんな役を演じて、楽しい経験をさせてもらいました。

例えば、映画『ハルウララ』では厩務員の役を演じたんですけど、クランクインの2週間前に現場に入って日の出前から馬の世話をしましたし、映画『アニムスアニマ』では美容師の役だったので、閉店後の美容室に行ってハサミの使い方を教わったり。

僕は飽きっぽい性格でもあるので、そうやって作品ごとにいろいろな経験ができるのが逆に楽しいんですよ。

中でも思い出深いのは、映画『リリイ・シュシュのすべて』。出演者とスタッフが栃木県足利市と群馬県太田市に泊まり込みで、その間、ずっと作品のことに集中できた現場だったことが大きいと思うんですけど、とにかくみんなの団結力がすごくて、できあがった作品を見たときは、今まで感じたことのなかったほどの大きな達成感を感じることができました。

ひとつの伝えたいことを、どうやったらうまく伝わるのか、多くの人が集まって、真剣になって考える。そういうもの作りの醍醐味を初めて教わったんですね。

それからは、俳優という仕事に、前向きに取り組むことができるようになった気がします。

撮影現場には、監督をはじめ、カメラや照明など、いろんな専門分野をもったスタッフがいて、俳優はその中の一部分に過ぎないんだけど、演技という部分でベストを尽くすことにやりがいを感じるようになったんです。

30歳を目前にして新しいことに挑戦したかった (忍成 修吾)

どの作品にも思い出があって、貴重な経験を積ませてもらってきたと思うんですけど、実は舞台については、心のどこかで避けていたところがありまして。

舞台も映像も、両方を経験している人の話によれば、「まったく別のものだ」と聞くし、果たしてそれが自分にきちんとこなせるのかという怖さがあったんです。

それでも、『ビロクシー・ブルース』という作品で初舞台を踏む決心ができたのは、このお話をいただいたとき、30歳を目前にした僕が、今までになかった新しい経験をしてみたいと思っていたからでしょう。

もちろん、役を演じるという点では今までの経験が生かされる場面もあるだろうけど、同じことをやるだけでは通用しないのはわかっています。映像の場合、「スタート」と「カット」の合図の間で何をすべきかを考える集中力、瞬発力が求められるけど、舞台となると、「スタート」のあとは最後まで突っ走るしかないわけですからね。

デビューした年から数えれば、来年で10周年になるわけですけど、それでも俳優としては「まだまだペーペー」というのが正直な僕の実感です。だから、初めての舞台という経験を通じて学ぶものは大きいと思うし、ある意味、今の僕はターニングポイントを迎えているのかもしれません。

怖さはあるけど、むしろ何が起こるんだろうって、わくわくしている自分がいるんです。

忍成 修吾さんへQ&A

Q:最近、ハマってることは?
A:知り合いに誘われて始めたゴルフ。なんとなく始めたわりに、最近、ムキになっちゃってる自分に気づくんです(笑)。
Q:初めて感動したお芝居は?
A:パルコ劇場で観た三谷幸喜さんの『彦馬がゆく』。役者さんひとりひとりが生き生きしていて、衝撃を受けました。
Q:落ち込んだときに食べるパワーフードは?
A:すき焼き。いつも通っている店があるんですけど、内緒にしておきます。すき焼きって、本当においしいですよね。

これから演劇を楽しもうと思っている人へ

テレビとか映画と違って、子供のころから演劇を見慣れている人って、自分も含め、そう多くないと思うんです。だから、自分から求めていかないと演劇の楽しさは、なかなか味わえないもの。それだけに、生声の迫力だったり、劇場の独特な雰囲気にふれたときの感動は大きいものになるはずです。僕自身、演劇にふれるようになったのはこの仕事をはじめてからなんですけど、いろいろなお芝居をもっと見ておけばよかったなと思うんですよ。

これから演劇をしようと思っている人へ

これまでの僕は、節目節目でチャンスに恵まれてきたほうだと思いますが、チャンスを得るには、「俳優であること」をずっと続けてこなければならないわけで。それは本当に大変なことだと思うんです。そのためには、演じるということをいかに好きになるかが大切で、今の僕も、どれだけこの仕事を好きでいられるかの戦いの中で生きているような気がします。どうか、悔いのないよう、最後まであきらめずに頑張ってほしいですね。

忍成 修吾さんの次回公演情報

「ビロクシー・ブルース」の画像画像を拡大する
パルコ・プロデュース公演 「ビロクシー・ブルース」

ブロードウェイの巨匠、喜劇の王様と言われるニール・サイモンの自伝的作品『ビロクシー・ブルース』がパルコ劇場に登場する。軍隊の訓練所を舞台に兵役につく若者たちの青春の苦さ、滑稽さ、そしてそれでもたくましく成長していく姿を笑いと感動とともに描いた名作だ。佐藤隆太瀬川亮羽場裕一といった顔ぶれの中、これが初舞台となる忍成修吾はどんな演技を見せてくれるのか。乞うご期待!

東京公演 倉敷公演
2009年2月2日(月)~2月22日(日) 2009年2月25日(水)
パルコ劇場 倉敷市芸文館ホール
福岡公演 新潟公演
2009年2月27日(金) 2009年3月1日(日)
福岡国際会議場メインホール 新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)・劇場
仙台公演 大阪公演
2009年3月4日(水) 2009年3月7日(土)~3月8日(日)
仙台市民会館大ホール イオン化粧品 シアターBRAVA!
名古屋公演
2009年3月10日(火)
愛知県勤労会館
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取材・文/ボブ内藤(方南ぐみ) 撮影/石井和広(TFK)

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