- 野村 佑香(のむら・ゆうか)
- 1984年3月20日生まれ。神奈川県横浜市出身。
3歳からモデルとして活動し、10代にかけてジュニアアイドルとして人気を博す。2002年、成城大学に一般入試で入学し、学業に専念するも、07年1月の映画『子宮の記憶/ここにあなたがいる』で女優業に復帰。以後、映画、テレビ、舞台に精力的に活動している。
公式ブログ「nomulabo」
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初めてこの世界でお仕事をさせていただいたのは、3歳のころなんですけど、そのときのことはちゃんと記憶に残っているんです。CMの撮影でしたが、終わったあとに金太郎と桃太郎の人形をいただきまして。ずいぶん大きくなるまでその人形は大事にしていたくらいで、とても印象が強いんですよ。
ただ、やはり3歳ですから、それが「仕事」という実感はほとんどなかったと思います。
自分の中で「演じる」ということを「仕事」として意識するようになったのはそれからだいぶたってからで、11歳のときにテレビドラマ『木曜の怪談』(フジテレビ系)に出演させてもらったころでした。このドラマはシリーズ化して、足かけ1年半にも及ぶ長い期間、出演者として制作にたずさわったわけですが、同年代の共演者の人たちと子供ながらに「このセリフはこんな風にしゃべってみようよ」とか、「こんな動きをつけたら面白いんじゃない」なんて提案したりしていまして、それが形になるのがとても面白かったんですね。
怖い話のドラマだったので、山奥の廃校とか病院とか、遠いところにロケに出かけたりすることも多く、朝の5時に集合して移動するなんてことがよくあって、決して楽なお仕事ではなかったと思うんですが、今思い返してみると、楽しい思い出ばかり。思うに、プロデューサーや監督を含め、たくさんのスタッフの方々、そして出演者の方々が集まって、「いいものを作る」という目標に向かって力を出し合う、そういう部分にやりがいを感じたのかもしれませんね。
私にとって最大の転機がやってきたのは、高校卒業を前にして進路を決めるときで、大学に進学するか、それともこのまま仕事を続けるか、ずいぶん迷っていろいろ考えたんです。
いろんな人に相談して意見を聞いたし、大学がどういうところなのか、情報を集めて検討したり、自分なりにできる限りのことをした結果、進学という道を選びました。その理由は、「大学はいつでも入学できるけど、今だからこそ経験できることでもあるんだよ」という助言も大きかったですが、私にとって大学という場所が、まったく未知の世界だったことも背中を押した理由のひとつ。
というのも、それまでずっと携わってきた「仕事」の世界では、作品ごとにスタッフ、出演者が集まって、次の作品ではまた別の人たちと出会う、そんな日々の連続なんですね。それがこの仕事の面白さでもあり、一度出会った人との縁はずっとつながっていくものなんですが、大学に通うという経験は、ある意味それとは逆。高校や地元の友達とは違う仲間と席を並べることは確かですが、4年という長い期間、一緒に勉強するわけですからね。
それだけに、大学ではとても収穫の多い日々を送ることができました。
今まで私は、「仕事」を通じていろんな経験を積ませてもらってきたつもりだったけど、知らない世界はたくさんあるんだなと心から実感しましたよ。例えば、アルバイトするために履歴書を書いたとき、「受かるかな」「受かったとしても、ちゃんと働けるかな」なんて考えると、すごくドキドキしたんです。早い人は、高校生からバイトしてる人もいると思うんですけど、「すごいなぁ」って素直に尊敬しちゃいます。
そんな私も、同級生が就職活動をはじめ、卒論の準備に追われるような時期になると、再び将来のことについて、考えるようになりました。ただ、このときはそれほど迷いはありませんでした。「演技を通じて自分を表現したい」という強い気持ちを感じられたから。
だから、「仕事」に復帰してからの私と以前の私を比べると、ハングリー精神はずっと大きいと思います。一つひとつの仕事がとてもありがたいし、それに挑戦することで自分を高めていこうという意識が芽えてきました。
初めて舞台に出演したのは、大学1年生のときで、劇団☆新感線の『スサノオ~神の剣の物語』という作品なんですけど、最初はぜんぜんできなくて。演出家の、いのうえひでのりさんの言うことを忠実にやろうとすればするほど、役をつかめなくなっていく。だけど、格闘する毎日の中で、舞台のライブ感というものをなんとなく理解できたんでしょうか、「お客さんの反応を見て、自分なりにセリフをアレンジしたりしてもいいんだ。逆にそれが舞台の魅力なんだ」ということをつかめた気がして、途中からすごく楽しんで演じることができたんです。
もちろん、その楽しみ方を見つけたことはゴールではなくて、「そういう舞台の上で、どんな表現ができるか」という課題のひとつなんですけどね。でも、その課題が見えたということは私にとって、大きな前進なんです。
おそらく私はこれからも、悩んだり、壁に突き当たったりをたくさん経験するんだろうと思いますが、それはきっと無駄にならないと思います。なぜなら、トコトンまで悩んだ末に選んだ道は、絶対に後悔しない道だと思うから。
取材・文/ボブ内藤(方南ぐみ) 撮影/石井和広(TFK)











