- 上川 隆也(かみかわ・たかや)
- 1965年5月7日生まれ。東京都出身。1989年、演劇集団キャラメルボックスに入団。1995年、NHK70周年記念日中共同制作ドラマ『大地の子』で主演に抜擢される。2006年にはNHK大河ドラマ『功名が辻』では山内一豊役で、主演を果たした。舞台、テレビの両面で活動するかたわら、GAINAX製作TVアニメーション「天元突破グレンラガン」にアンチスパイラル役で声優として出演。2009年7月、演劇集団キャラメルボックスを退団。その後も様々な仕事に挑戦し、活躍の場を広げている。
僕が入学した高校は創立されたばかりの新しい高校だったので、部活同士の垣根がとてもユルかったんです。当時、軟式テニス部に所属していたんですが、漫研に顔を出したり、手が足りないから演劇部にも参加してみたり。その経験からか、演劇は自分にとって距離感が近い存在ではありました。けれど当時は、将来演劇に携わるとも、演劇が自分と意味をもって向き合うモノになるとも思っていませんでした。
大学生になってアルバイトを探していたとき、「劇団のスタッフ募集」の求人に目がとまり、高校時代のこともあり、アルバイトとしてやるには楽しくやれるかなぁと思い抵抗なく応募したんでしょう。ところが、飛び込んでみたら「ただの裏方スタッフ」ではなく、「運営スタッフ」だったんです。"お芝居を運営=出演する"というコトで。しかも全国の小中学校にうかがってお芝居を見せるという劇団だったんです。驚きましたが、おもしろそうだなぁと感じたので、結局参加してしまったんです。いま考えると他のスタッフは真剣にお芝居を作ることを志していた人たちだったと思います。そんな中、おもしろそうだという理由だけで参加した僕をよくぞ迎え入れていただけたなぁと思います。
でも、そんな軽い気持ちで参加したお芝居の対象が子どもたちであったというコトがとても大きく僕には作用しました。子供って僕らのやっているコトに対して返ってくる反応があからさまなんです。面白ければ集中してくれるけど、つまらないと見てすらくれない。大人になると従ってしまう「義務感」がないんですね、気持ちいい位に。そういうモノが一切ない状態でお芝居と向き合っている子供という存在が最初のお客さまだった。だからちゃんとやれば、返ってくる、「演劇って面白いな」と感じた。これが僕の最初の演劇体験なんです。
本当はそこまで続けるつもりはなかったのですが、気づけば1年間休学して、旅回りをしてしまうほど演劇が僕の中で何より面白いモノに変化していきました。
その後、お芝居を辞めて学校に戻るのですが、"戻ったもののどうしよう"と、自分の方向性が急に見えなくなってしまったんです。その時、頭をもたげて来たのが、お芝居が面白かったときの自分の記憶だったんです。そのとき、初めて"自分は芝居がやりたいんだ"と強く思いました。
それから、演劇をやれる場所探しが始まったんです。もともとお芝居を観る習慣もなく、養成所等に入るための先立つものもなく、「どうしたらいいのだろう?」と二の足を踏む時間がずっと続く毎日。
そんなとき、ある街角に貼られていたお芝居のポスターが眼に留まったんです。それがキャラメルボックスの公演ポスターでした。何の気なしに観に行ったら、その次の公演で俳優オーディションがあるという告知があったんです。けれど小劇場のお芝居を観るのもそのときが初めての僕には、小劇場の芝居ってどういうものなのかなどわからないことだらけ。さんざん悩みましたが、とうとう締め切り間近に応募。課題を与えられてお芝居をする経験もないのでとても緊張しましたが、結果は合格!その時は"これでお芝居ができる!!"とうれしかったですね。でも、それでもまだ、それで身を立て名を成そうなんていうコトまでは思ってなかったのは確かです。純粋に"これでお芝居がやれる境遇が手に入った!"という喜びだったように思います。
すぐに初舞台を踏んで5年間、ひたすらキャラメルボックスのお芝居を経験し続ける日々を過ごしました。そして忘れもしない94年4月、『大地の子』出演の話をいただきました。この時は内容も詳しく伺わないまま、2つ返事で「やります」と答えました。翌日、ほぼ全編中国語でロケも中国でというお話を聞いて驚くことになるわけですが、それでも「よろしくお願いします」って言いきったんですよ(笑)。このあたり、最初の劇団スタッフ募集の時と感覚的に変わってないですね。そして台本と中国語に向き合う時間が始まり、ひと月後には中国へ。撮影では、普通なら戸惑ったり苦労もあると思うんですが、それらを特には感じなかったんです。というのも、飛行機が中国大陸に差しかかったとき、視界いっぱいに畑が見えたんです。はるか地平線まで続く、全て人の介入した土地。その風景があまりにも圧倒的で"自分の経験なんて通用しない"って理屈じゃなく思わされてしまったんです。全て未知のフィールドなんだからこの世界をよく知っているスタッフに何でも教えてもらい、従おうと思ったんです。素直に反応していこうと。目の前にあることにとにかく挑戦して日々が過ぎ、毎日が初めて経験する驚きの連続でした。だから苦労など微塵も感じない、ものすごく充実した毎日でした。『大地の子』の反響は大きかったです。朝の連ドラへの出演が決まったり、いろんな作品からお声がけいただけるようになりました。僕自身は変わらないのに、周りの風景が変わっていく不思議な時間。フィールドが広がっていく様子に呆気に取られてもいました。お芝居が面白いと思って始まった役者人生ですから、広げていただいたフィールドを面白いと感じる感覚は今も変わらずにあります。たくさんのお芝居にふれさせていただいたこと、場所を広げていただいたことで、想像もしていなかったけれど、役者として生きる今の僕があるのだと思っています。
- 『隠蔽捜査』 『果断・隠蔽捜査2』
今野敏 原作による『隠蔽捜査』シリーズ1・2が同時に初の舞台化!物語の主人公・竜崎伸也役には、誰もが納得の上川隆也。共演は、歌舞伎界より中村扇雀、個性派芸人の板尾創路、上川と劇団キャラメルボックスに同期入団した近江谷太朗と、 かなり見応えある役者陣が揃った!二つの舞台『隠蔽捜査』そして『果断・隠蔽捜査2』は、連続性はあるものの、それぞれ個別の物語として完結しているため、どちらか一方のみを観ても、続けてみても、逆からでもご覧頂けるよう仕組まれているのが特徴だ。
公式サイト http://inpei.jp 問:キョードー東京 0570-064-708
また、上川隆也主演の新たな警察ドラマ『遺留捜査』(テレビ朝日)のDVD-BOX発売決定!全11話分のドラマ本編のほか、PRスポット集などDVD-BOXでしか見られない貴重な特典映像も収録予定。
東京公演 神戸公演 10月19日(水)~30日(日) 11月3日(木)~11月6日(日) シアター1010 新神戸オリエンタル劇場 京都公演 名古屋公演 11月9日(水)~11月10日(木) 11月19日(水)~11月20日(木) 京都南座 名鉄ホール
取材・文・撮影/カネコダイゴ スタイリスト:黒田匡彦 (KUM STYLE) 衣装協力:CUSTOM CULTURE(03-5371-1488・東京都渋谷区代々木2-28-7 代々木NTビル1F) ヘアメイク:植村タケヒサ











