【注目インタビュー 私のターニングポイント Vol.11】羽野 晶紀『怒られたくないがための頑張りがいつしか役者として認められるようになっていた』(掲載開始日:2008年5月22日)

羽野 晶紀(はの・あき)
1968年8月22日、京都府生まれ。
大阪芸術大学在学当時、学生劇団であった「劇団☆新感線」に入団。「NODA・MAP」「ロミオとジュリエット」など舞台活動の傍ら、独特のキャラ感でバラエティでも人気を博す。2001年、芸能活動を休止し結婚。昨年よりテレビの情報番組等をはじめ活動を再開。今年、8年ぶりに舞台へ立つことでも話題になっている。

ジャージ姿の新感線メンバーをみて本当にイヤだなと思ってましたね(羽野 晶紀)

演劇なんてまったく興味がなかったんですよ。多分、このインタビューで登場する俳優さんの中で一番と言ってもいいぐらい。じゃあ、なんでココにいるかと言うと、強引なスカウトがきっかけなんですね。

そもそも大阪芸術大学に入学したのは、演劇ではなくミュージカルを勉強したかったんです。高校のとき映画「フラッシュダンス」を見てジャズダンスに興味を持つようになり、ミュージカル専攻科へ進学。

でも大学の学食で同じ学科の先輩が「演劇部に入らないか」「入らなくてもいい、遊びにくるだけでいい」って、会うたびに執拗に声をかけてくるんですよ。人相が悪くて、いつ会ってもジャージ姿の男性。それが古田新太さんだったんですけど(笑)。古田さんだけじゃなくて、演劇部のメンバーみんながジャージ姿で小汚い。これで「演劇って絶対イヤ」ってイメージを強く植えつけられちゃったんですね(笑)。

だから、古田さんに会わないよう逃げ回ってたんですけど、当時ミュージカル学科って15人ぐらいしかいなくて、ほぼ毎日顔をあわせるんですよ。誘いを断り続けるのも限界に達し、入らないけど一度だけ見学に行きますってことで顔を出したら、ひとつ先輩の高田聖子ちゃんも見学に来てて。そこで、座長のいのうえひでのりさんが「2人で踊ってくれる?」なんて言うから踊ってみたら、それが次回公演の振り付けだったんですよ。まぁ、一言でいうと策略にハマったというか。それが私と「劇団☆新感線」との出会いでしたね。

ヒロインの大コケ芝居が自分の戦闘意識に火をつけた(羽野 晶紀)

そんな流されるように入団しましたから、やる気になるはずもなく、自分が出演するシーンだけ稽古して帰る日々。だから、本番までどんなストーリーか知らなかったこともありましたよ。ホント、今考えれば信じられないですけど。この頃は、芝居が面白いというよりも、今まで出会ったことのなかった、おかしな演劇人たちと遊ぶのが楽しいって感じでしたね。

でも、当時ヒロインをやっていた看板女優が寿退団して、私がその座を譲り受けてから状況が一変。実際は、譲り受けたなんてカッコいいものじゃなくて「今度は台詞の多い役をやってみるか」と座長に言われただけなんですけど。それで「井戸穴ジョージの大冒険」という芝居で初ヒロインを勝手にキャスティングされたんです。しぶしぶ稽古に出たものの、想像以上に芝居が難しくめちゃくちゃ怒られるんですよ。怒鳴られるわ、物は飛んでくるわで。だから、怒られたくがないために頑張ってたというのが本音。

案の定、初ヒロイン役は散々たる結果に終わったんですが、これがすごく悔しかった。この舞台がきっかけで、上手に演技が出来るようになったら絶対に辞めてやるって、おかしなモチベーションのもと芝居に本気で取り組むようになったんです。今まで運動会でも受験でも頑張ったことのなかった私が、初めて頑張って何かをやりとげようと思ったのが芝居だったんですよね。

劇団の外に出ることで今まで知らなかった刺激を受けました(羽野 晶紀)

そんな頑張りが認められたのか、舞台に立っている私を見てテレビや他のカンパニーでの出演依頼が増えてきたんです。とは言え、適齢期にもなってましたから、早く寿退団したいなとも考えてました。

でも、劇団を飛び出して「ハムレット」に出演したときに、すごく意識が変わったんですよ。いままでは役者、大道具、衣裳、メイク、すべて自分たちでやってましたから、専門のスタッフがいる大きな舞台では、役者は役のことだけ考えていいんだと恵まれた環境に感激したし、他の役者さんとの出会いも刺激的でした。劇団でも先輩で、一応ヒロインだったから、誰も自分にアドバイスをしてくれなくなっていて。

でも、他の女優さんに出会うことで、それまで寿退団しか頭になかったけど、離婚して役者を続けてる方、家庭を持ちながら舞台にあがっている人など、色々なライフスタイルがあって、結婚後に役者を続けてもいいんじゃないかと考えはじめたんですね。結果的に「劇団☆新感線」は寿退団したんですが、芸能活動に復帰する際に、役者という選択肢を入れたのは、このときの出会いが大きいと思います。

8年ぶりに舞台にあがることで、役者として変化したのは母になったこと。たとえ母親役じゃなくても、女性として成長した部分が見せられるだろうし、見せたいところでもあります。これからが、私の新たなターニングポイントになると思っているんですよ。

羽野 晶紀さんへQ&A

Q:得意な手料理は何ですか?
A:ありもので何かを作ることかな。冷蔵庫にある食材で「何にしようかな」って考えるのがすごく好きだし、得意ですね。
Q:最近、ハマってることは?
A:ブログですね。自分がこんなに責任感を持って、一日何度も更新できるなんて思わなかった。まぁ、いつまで続くか分からないですけど(笑)。
Q:もし、俳優になっていなかったら?
A:難しいなぁ。楽しいことを見つけて、それを職業にしたいけど、仕事に楽しみを見出せなかったら、稼いだお金でトラベラーになる。

これから演劇を楽しもうと思っている人へ

まずは面白いものを観に行くこと。本やネットで評価の高いものや、誰かがオススメしてくれた舞台を観に行って、そこで気に入ったジャンルのものがあれば、それを広げていくのがいいと思います。最初につまらないものを観ちゃうと、その後絶対行かなくなっちゃうから。どの舞台が今、おもしろいと言われているかを調べることから始めてみては?

これから演劇をしようと思っている人へ

役者としてどこを目指しているのかをはっきりすることかな。映画俳優なのか舞台俳優なのか、どれがいいのかを探れば近道になると思います。それで色々な門を叩いてみて、10年間やっても成果がでなければ、自分に向いているかを一度考えた方がいいかもしれませんね。

羽野 晶紀さんの次回公演情報

「王様とおばさん」の画像画像を拡大する
王様とおばさん

福島三郎脚本・演出、宮本信子主演で繰り広げる大人のためのファンタジックコメディの第2弾。夫を失い人生の岐路にたった主人公がハワイを舞台に笑いと感動を巻き起こす。優しく温かい気持ちになれる舞台。

大阪公演 新潟公演
2008年5月31日(土)~6月1日(日) 2008年6月7日(土)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ 新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)・劇場
東京公演 名古屋公演
2008年6月10日(火)~22日(日) 2008年6月26日(木)~6月27日(金)
ル テアトル銀座 by PARCO 名古屋市青少年文化センター アートピアホール
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取材・文/中屋麻依子(方南ぐみ) 撮影/石井和広(TFK) スタイリスト/今村文子 衣装/iiMK(イトキン)・クランプリュス(イトキン)・TSUTSUMI((株)ツツミ)

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