- 溝端 淳平(みぞばた・じゅんぺい)
- 1989年6月14日生まれ。和歌山県出身。2006年、「第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。歴代受賞者では最多の40社の芸能事務所から所属の勧誘を受ける。その後、ドラマ、映画、バラエティーの司会などで活躍。現在、ドラマ『新参者』(TBS系)に出演中の他、主演映画『NECK』(8月21日~)、『君が踊る、夏』(9月11日~)の公開が控えている。
人前に出て自分を表現する仕事って、興味はあっても、目指そうという気持ちはこれっぽっちもありませんでした。だから、ウチの姉が冗談まじりでジュノン・スーパーボーイ・コンテストに応募したときは、「書類審査を通過しました」って返事がきただけでビックリ。大阪予選に出場するまでは、「未来の小池徹平くんになる人を見物してこよう」くらいの気持ちだったんです。ところがその後、あれよあれよという間に審査を通過し、ついに東京での最終審査に参加することになったとき、自分の中でスイッチが入りました。
最終審査は、誌面での読者人気投票で選ばれた10人しか参加できないもので、それだけで光栄なことなんですが、「どうせならグランプリを取らないと意味がない」、そう思っていたんです。それまで、テニスで全国大会に行っても、2位どまりで1位になれず、サッカー部に入ってもレギュラーになるのがやっとだった僕にとって、初めて1位になれる一生に1度のチャンスだと思ったんですね。
ちょうどその年、地元のだんじり祭で僕の住んでいた地区が3年に1度のサイクルで参加する年だったというのは、ちょっと運命的なものを感じます。最終審査で和太鼓を披露しようと考えた僕は、部活を辞めて、祭の稽古に没頭したんです。目標があると、人はこんなに夢中になれるんだってことを痛感しましたね。
だから、審査会場ではまったく緊張することなく、のびのびと和太鼓を披露することができました。グランプリを受賞したときは、本当にうれしかったですよ。それは、精いっぱい自分の力を出しきったからこその喜びだったんじゃないかと思います。
それからは、本当にめまぐるしい日々が始まりました。40社もの芸能事務所の人に会ったときは、お辞儀のし過ぎで首が痛くなるほどで、街ですれ違う人にもお辞儀をしていたり(笑)。ジュノンの1月号の表紙撮影からはじまって、テレビのバラエティ番組への出演、ドラマ撮影などが目白押しで、「これが自分の仕事」と意識する余裕もないほどでした。
今思い返してみても、ジェットコースターに乗っていたような感覚。でも、どの現場でも「その他大勢」で終わらないようにもがいていたことは確かですね。ただ、無我夢中だっただけに、空回りしていた部分もあったと思うんです。ようやく周りを見ることができるようになったのは、デビューして数年たったころでした。
きっかけは、舞城王太郎さんの書き下ろし原案『NECK』を舞台化、映画化するというプロジェクトに起用されたこと。それまでの僕は、カメラの前でいかに目立つかということばかり考えていたような気がするんですが、目の前のお客さんを前にして舞台に立つという経験によって、自分の演技がどんな風に観ている人に写るのかを初めて意識するようになったんです。
特に『NECK』の場合、首から下が箱の中に入っていて、顔とセリフだけで表現しなければならないシーンがほとんどだったから、ちょっとしたニュアンスの違いでお客さんの反応が変わるのが手に取るようにわかったんです。
舞台は、僕に演じることのむずかしさ、そして楽しさを教えてくれました。思うにそれ以前の僕は、サッカーに例えると、シュート練習ばかりしていたような気がするんです。だけど、ちゃんとした選手になるにはシュートだけではなくて他の選手をアシストすることも重要だし、ゲームの流れを客観的に分析して、一歩先の準備もしなきゃいけない。演技もそれと同じことで、チームワークを生かして作り上げていくものなんですね。
演出の河原雅彦さんも、稽古ではとても丁寧に教えてくださって、これもいい経験になりました。また例のサッカーの例えになっちゃうけど、シュートだけじゃなくて、ドリブルだったり、コーナーキックだったり、演技に関する技術をいろいろ学ぶことができた。技術は覚えるだけじゃなくてその使い方も重要で、適確な演技をすることはとてもむずかしいんですが、無数の可能性を試して試行錯誤することは、とても楽しい作業でもあります。
だから、今回の舞台『スマートモテリーマン講座』は、とても楽しみな公演なんです。安田(顕)さんと初めてお会いしたとき、すでにモテリーマンの格好をしていたんですが、本当に何が起こるのかわからない予感がしています。演出の福田雄一さんとは、なぜか会った途端に意気投合してしまいまして、もう身をゆだねるしかないなと思いましたし。とにかく、新しい自分を発見できそうな気がして、今から楽しみです。
- 舞台『スマートモテリーマン講座』
「モテるサラリーマン」になるための仕草や行動を指南し、絶大な支持を集めたフリーマガジン『R25』の人気連載コラムがまさかの舞台化! 主演の新人サラリーマン役には、2009年「日経トレンディ・今年の顔」に選ばれ注目度ナンバーワンの溝端淳平。共演のモテリーマン役にはTEAM NACSの安田顕が扮する。脚本はフジテレビ系ドラマ『東京DOGS』(脚本)、『33分探偵』(脚本・監督)などを手がけた放送作家の福田雄一が担当。また、8月30日(月)14:00の追加公演が決定! この追加公演チケットの発売は7月10日(土)10:00 から各プレイガイドにて!
2010年8月24日(火)~8月31日(火) 草月ホール
取材・文/ボブ内藤 撮影/石井和広(TFK)











